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立ち読みコーナー『監督官がやってくる!』

『監督官がやってくる!』

<第2章>労働基準監督署の調査から措置の流れ

申告があったらあらゆる点を調査する

●匿名は「情報提供」として扱われる

労働者から申告があれば、監督官はその申告事案について「迅速かつ優先的に」対応することになります。しかし、それだけでは終わりません。

まず、各地域によって申告への対応は若干違うので、厚生労働省の中央から全国の労働基準監督署に向けて出された行政方針の内部文書から説明しましょう。「申告・相談の対応に当って留意すべき事項について」として、図表8のような内容の指針を出しています。

この対応方針によれば、その申告事案にとどまらず、会社全体の法違反の可能性まで調査され、監督指導を受けるということです。たとえば、「長時間労働で困っている」と、ある労働者から監督署へ申告したとします。すると監督署は臨検にやってきますが、その際に「他の法違反の可能性」も調査するために、サービス残業、タイムカード、協定届、就業規則、安全管理体制などあらゆる点をチェックするということです。申告という一つの事案に端を発し、必ずといっていいほどその他の法違反の調査も受けるのです。申告によるその労働者本人の救済だけでなく、会社全体の法違反に積極的に監督指導をする監督官の姿勢は調査の現場でも十分に現われています。

図表8 申告・相談に対する対応
申告内容が労働基準関係法令違反を構成するおそれがある場合はもちろん、法令違反を構成するおそれがない場合であっても問題点が推測されるため、次のように対応する。
①申告内容の処理にとどまらず、その会社全体を見て労働法違反が推測される場合は積極的に調査・監督指導していくこと
②監督指導を実施するか否かの決定については、労働基準監督署として組織的に行うこと
 ②による監督指導の実施状況から見て、問題となる事業場が特定の業種・業界などに多数存在し、かつ、その業種・業界全体に共通して法違反の問題が存在すると考えられる場合には、その業種・業界を取りあげ改善指導対象とする。
※「平成13年9月25日基発第852号」を要約・抜粋
Point!
労働基準監督署は、申告事案にとどまらず労働基準法遵守に関してあらゆるもののチェックにはいる。