労働基準監督署>労働基準監督署に関するニュース>業務上災害で「うつ病」発症

労働基準監督署に関するニュース <7>-5
業務上災害で「うつ病」発症

マツダ社員 過労自殺認定 6400万円支払い命令 神戸地裁支部

 2007年に大手自動車メーカー「マツダ」(広島県府中町)の社員だった男性(当時25歳)がうつ病になり、自殺したのは、長時間労働や上司のパワーハラスメント(職権による人権侵害)が原因として、兵庫県内に住む男性の両親が同社に慰謝料など約1億1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、神戸地裁姫路支部であった。中村隆次裁判長は「会社は、男性が心身の健康を損なう原因となった過重な労働実態について認識できたのに、適切なサポートをするなどの対応を怠った。自殺は業務に起因するものだ」として、同社に約6400万円の支払いを命じた。
 判決によると、男性は06年11月~07年4月、エンジン用部品の購買業務を担当。上司からは「残業は業務効率が悪いからだ」と叱責され、仕事を持ち帰ることもあった。男性はうつ病になり、07年4月に社宅で自殺した。自宅での仕事も含めると、残業時間は月80時間を超えていた。
 広島中央労働基準監督署は09年1月、業務に基づく強いストレスなどで発病、自殺したとして労災を認定した。
 原告側は、自宅での時間外労働も加えると基準を超え、男性が発病しても、マツダ側は業務への支援をせずに過重な労働を強いており、自殺は予見できたと主張。マツダ側は、男性を支援しており、自殺は業務と無関係と主張していた。
 マツダ広報本部は「当社の主張が一部しか認められなかったことは残念」としている。

[読売新聞社 2011年2月28日(月)]

<<前のページへ 次のページへ>>