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立ち読みコーナー『監督官がやってくる!』

『監督官がやってくる!』

<第2章>労働基準監督署の調査から措置の流れ

是正勧告書とは何か

監督官は調査を行なった結果、労働基準法違反の事実を発見した場合は、それを是正するように指導する権限があります。その指導内容を書面で表わしたものが「是正勧告書」というものです。

是正勧告書は、あくまで行政指導であるとされています。是正勧告に基づく改善は、あくまでの任意の協力によって実現するもので法的強制力があるものではありません。つまり是正勧告書はサッカーで言えば、イエローカード(警告書)です。ですから、中小企業の場合、たとえサービス残業の事実があっても賃金の時効2年分をさかのぼって支払いを求められることは少ないのです(もちろん、2年分をさかのぼることもあるのでご注意を)。監督官はおおむね3~6ヶ月間の遡及支払いという勧告をして、将来に向けての改善をうながすのが一般的です。

しかし、是正勧告を受けたということは、法違反の事実があったことの証拠ですから、その是正勧告に対して非協力・不誠実な対応、無視、虚偽の報告などをすると、大変な結果をもたらすことになります。監督官は法違反があった場合、書類送検し、検察庁や裁判所の判断を待つことができる司法警察官の職務権限があることを忘れてはいけません。

経営者は是正勧告書が指摘する違反行為を真摯に受け止めて次のアクションを起こすことです。是正勧告書を受け取ったら、その改善について「是正報告書」を提出することになります。